ラブコメ漫画好きに読んで欲しい『春と盆暗』
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ラブコメからはじめたいと思う。
『春と盆暗』が面白い。
今年の9月(2016年11月号)から『アフタヌーン』で始まった、熊倉献という漫画家の、はじめての連載作品である。
一話読み切りのオムニバス形式で、男女の出会いが描かれる。
初回の柱の紹介文には恋愛譚、とある。
第一話の冒頭、「接客以外、接客以外」とつぶやきながらアルバイト情報誌を読んでいた主人公が、通りかかったスーパーで可愛い女の子店員と目が合い、笑いかけられる。次のコマで主人公はスーパーのレジ打ち、つまり接客業に就いている。
わずか2Pのオープニングで軽やかに描かれる春(恋)と盆暗(主人公)。
恋愛譚、とりわけラブコメにおいて「恋に落ちた」という説得力は、とても大切だ。
そしてラブコメを面白いと思うには、実は同性を愛おしいと思えるかにかかっていると思う。
この作品は、のっけから僕のボーダーを乗り越えてしまった。
さて、そんな巧みなこの物語が描いているのは異性の謎と気づきだ。
女の子を目で追いかけるような日々の中で、主人公の頭の中にいくつかのイメージが浮かび上がってくる。
イメージは次第に連なっていく。頭の中が、現実に重なる。
あくまで日常を描いているのに、SFとか奇想と呼びたくなるよな想像力だ。
やがてパズルのピースが組み上がるようにイメージが立ち上がった時ボンクラは、気がつく。